令和4年度認知症作業療法ステップアップ研修会は、11月4日「認知症の人と家族介護者を支える作業療法」と題し、認知症の人に対する作業療法について様々な研究を行っておられる、県立広島大学 西田征治(にしだせいじ)先生をお招きしオンラインで開催いたしました。平日夜にも関わらず、36名のご参加を頂きました。
内容は、まず認知症の人への作業療法実践の基礎から始まり、理論やモデルを活用した評価・支援方法について確認した後、デイサービスや就労移行支援事業所、病院での退院支援など幅広い場所での具体的な実践内容を教示いただきました。また、家族支援の実践では、家族を第2のクライアントととらえ、しっかりアセスメントすることが重要で、認知症の人の活動参加を促す具体的な援助方法、行動症状を引き起こすきっかけやその対応について、家族にどのように指導していくのが効果的なのか教えていただきました。
認知症の症状についての評価は出来ても、それからもう一歩踏み込んで課題解決に向け具体的対策を立て、かつ効果を出していくことは容易なことではなく、臨床現場で苦渋されているOTも少なくないと思います。そんな中、今回の講義で、さまざまな場所での作業療法実践について沢山の具体的指標を頂きました。
改めて、「作業」と結びつくことで、人は健康で満たされた状態になれるという事、そして簡単なことではないですが、認知症の人がそこにたどり着けば、しっかり変化することを実践事例を通して再認識することができました。
なお、今回発表された家族支援や退院支援などの事例について、西田先生は日本作業療法学会や精神医学など様々な学会やジャーナルで論文を発表されていますので是非探して読んでみられると良いかと思います。
認知症の人の作業療法に携わる皆様が、自分の役割に自信を持ち、さらにモチベーションを上げていただけたら幸いです。
医療法人社団三友会 いしかわ内科
通所リハビリテーション 道本 純子