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平成27年度.第1回「認知症初期集中支援チーム」研修会報告

「認知症初期集中支援チームと地域支援」感想(H27.9.13)押川真唯(大悟病院)

九州保健福祉大学の小川敬之先生より初期集中支援チームがなぜ必要なのか、どういった制度なのかという概要部分から、事例を用いて実際はどの職種がどのように関わっているのかという流れを講義していただきました。

認知症初期集中支援チームの概要・流れの基本的プロセスは、~相談の応需、~初回家庭訪問・アセスメント、~チーム員会議、~初期集中支援の実施、~ケアマネージャー等へ引き継ぎであると一番始めに説明がありました。今回は特に相談の応需と初回家庭訪問・アセスメントについてより具体的に話を聞くことができました。

相談の応需について、各自治体の体制により異なることもあり、様々なルートがあるとのことでした。認知症初期集中支援チームへの依頼までのエピソードは、相談日・相談者・相談方法(来所・電話など)を記録に残しておき、対象者に対しては基本情報と認知症を疑う症状にいつから気づいたのか、どのようなエピソードがあったのかという情報まで聞き取りを行っているそうです。
初回訪問を設定する際に、聞き取った情報を利用し、訪問の約束を対象者と関わりのある人が調整するなど、できるだけ対象者の状況に合わせた設定ができるとのことでした。特に初回の家庭訪問時は、ご本人だけでなく家族も警戒心や拒否感が強いため、配慮の必要があるということを、小川先生自身の体験談を含めて話をしてくださったので、ご本人のペースに合わせた対応やご家族への配慮がいかに大切かということが理解できました。

初回訪問は、原則としてチーム員2名以上で訪問し、1回の訪問は約2時間以内と設定するそうです。1人が対象者と直接話し、もう1人が室内の様子観察をするなど、役割を分担してアセスメント(記録)していくのだと具体的に話をしてくださいました。
対象者の心身の状態や生活状況に関する情報収集を有効的に行える認知症アセスメントシートの紹介・説明もありました。DASC、DBD13、J-ZBI8、身体の様子のチェック、CGA-D、などそれぞれの評価内容や注意すべき項目、重要性についても細かく説明をしてくださいました。実際にモデル事業で使用し改訂されたものもあり、より簡易にそして必要な情報が分かりやすいシートになっていました。

認知症初期集中支援チームが行うべき認知症アセスメントの考え方について、早期診断・対応というものは、認知症の臨床像が複雑化する前に総合的にアセスメントするべきであり、他職種間でその情報を共有し、対象者に必要とされる支援を統合的に提供していくものであると講義してくださいました。その際に、必要であるものが支援対象者との信頼関係であり、負担なく話せるような環境や関係作りを心がける必要があると言われ、当たり前のことながら、改めて難しく重要なことであると感じました。

実際の事例の紹介もあり、具体的にどのような相談があって初回訪問に至ったのかという経緯や初回訪問時にご家族やご本人がどのような反応だったのか、医療センターやデイケア・デイサービスなどの利用に至るにはどのような過程があったのかという気になっていた部分についても聞くことができたのが一番良かったと思いました。

最後に小川先生は、社会資源をどう利用するのかというお話もしてくださいました。社会資源はどんどん発掘していくべきであり、地域と連携して役割や仲間がいるという関係性・環境を作っていく必要があると説明されました。社会資源の発掘の例として、商店街・図書館・社会福祉協議会などを挙げ、実際に村の公民館でしゃもじを作り売るという流れを作っている自治体の話をして下さりました。私の中では社会資源というものは、デイケアなどの施設くらいしか思い至っていなかったため、このお話を聞いて自分の考えの幅が広がりました。作業療法の活動の場所は自ら広げていけるのだということが分かり、まだまだ利用できる社会資源はあるのだということが理解でき、可能性は無限にあるのだなと思い直しました。

実際にモデル事業に関わった先生方の話を聞くことでより理解が深まったと思います。私自身の周りにも今回の研修について伝えていけたらと考えています。

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